前の記事では、私が資産運用そのものをどう考えているのかを書きました。
今回はそこから一歩進んで、実際に株式投資をするとき、どんな方針で運用しているのかを整理します。
現在、大切にしているのは次の5つです。
- ポートフォリオ全体で考え、リスクを分散する
- 長期投資を基本にし、保有する目的を意識する
- 高配当株を重視し、配当を人生の選択肢につなげる
- NISAなどの制度は、自分の投資方針に合わせて使う
- 数字や根拠を確認したうえで、最後は自分が納得できる投資をする
どれも「これが正解」というものではありません。
実際にいろいろ試してきたなかで、今の自分にはこの形が合っている。そんな現在地としてまとめてみます。
1.ポートフォリオ全体で考え、リスクを分散する
リスクを分散して安定させたい、これが1つ目の方針です。
個別株をやっていると、どうしても「次は何を買おう」と考える時間が増えます。
私自身、企業を調べることが好きです。決算を読んだり、事業内容を調べたり、「この会社はこれからどうなるだろう」と考えたりすることにも面白さを感じています。
ただ、一社だけを見て魅力的だからといって、自分のポートフォリオに加えることまで魅力的とは限りません。
たとえば、すでに金融株を多く持っているところに、魅力的な銀行株を見つけたとします。
その銀行だけを見れば、買いたくなるかもしれません。
一方で、ポートフォリオ全体から見ると、金融業への依存をさらに高めることになります。
そこで一度、「この銘柄を加えたら、ポートフォリオ全体のリスクはどう変わるだろう」と考えるようにしています。
私が分散を意識するのは、単に保有銘柄を増やしたいからではありません。
投資には、いろいろな種類のリスクがあります。
一つの会社に依存するリスクもあれば、一つの業界や国、通貨に偏ることで影響を受けやすくなることもあります。買うタイミングが偏れば、その時点の相場環境の影響も強くなります。
こうしたリスクを完全になくすことはできません。
だからこそ、一つの要因に資産全体が左右されすぎないよう、いくつかの方向からリスクを分けておく。
それが、私がポートフォリオ全体で考える理由です。
1.1 国や地域を分散する
私は、日本だけではなく海外の資産にも投資しています。
日本の企業は、自分にとって事業内容を理解しやすく、情報も集めやすいです。個別株については、今のところ日本企業を中心に見ています。
一方で、金融資産全体まで日本だけに集中させると、日本経済や日本市場の影響を強く受けることになります。
そこで、投資信託などを通じて海外にも資産を持っています。
ここでも、「日本を何%、海外を何%にすれば正解」という固定的な考え方はしていません。
それよりも、「自分の資産は、どの国や地域の影響を強く受けているのか」を把握しておくことを大切にしています。
日本株が好きだから多めに持つこと自体が悪いとは思いません。
ただ、それによってどのような偏りが生まれているのかは理解しておきたい。
自分が納得したうえで偏ることと、気づかないうちに偏っていることは違うと思っています。
1.2 通貨を分散する
国や地域とあわせて、どの通貨の影響を受けているかも見ています。
日本で暮らし、日本円で給与を受け取り、日本円で生活費を支払っていると、何もしなければ生活も資産も円に偏りやすくなります。
海外資産を持てば、ドルなど円以外の通貨の影響も受けるようになります。円安になれば海外資産の円換算額が増えることがありますし、円高になれば反対に減ることもあります。
つまり、外貨を持てば安全になるわけではありません。円だけを持つリスクを減らす代わりに、為替変動という別のリスクを引き受けることになります。
ここでも大切なのは、「外貨をたくさん持てばいい」という話ではなく、自分の資産が、どの通貨にどの程度依存しているのかを知っておくことだと思っています。
たとえば、近いうちに日本で使う予定のお金まで外貨にする必要はないでしょう。
一方で、長期間使う予定のない金融資産まで円だけに集中させる必要があるのかは、考える余地があります。
国や地域の分散と通貨の分散は重なる部分もありますが、私は少し分けて見るようにしています。
1.3 投資対象を分散する
投資対象についても、個別株だけに限定していません。
私は個別株に加えて、投資信託やREITなども使っています。さらに金融資産全体まで広げれば、現金、債券、金なども選択肢になります。
それぞれには違った特徴があります。
個別株には、自分で企業を選び、その成長を追いかける面白さがあります。
投資信託なら、一つの商品を通じて多くの企業や地域に投資できます。
REITは不動産から生まれる収益に投資できますし、債券や金は株式とは違った値動きをする場面があります。
私は、この違いに意味があると考えています。同じような値動きをするものばかり持っていれば、一つの環境変化によって資産全体が同じ方向へ動きやすくなります。
逆に、性質の異なるものを組み合わせれば、ある資産が厳しいときに、別の資産が違った動きをする可能性があります。
ただし、資産の種類を増やせば、それだけで良いポートフォリオになるわけではありません。
何のために持っているのか分からない資産を増やすより、自分が役割を理解できる範囲で組み合わせたいと思っています。
1.4 個別株も一社や一つの業界に偏りすぎない
個別株の中でも、一社や特定の業界への依存が大きくなりすぎないように意識しています。
とはいえ、銘柄数を増やせば増やすほど良いとも思っていません。保有銘柄が増えすぎれば、一社一社の決算や事業を追いにくくなります。
反対に、少数の企業へ集中すれば、その企業が大きく成長したときの恩恵は大きくなります。その代わり、想定が外れたときにはポートフォリオ全体への影響も大きくなります。
分散にも集中にも、それぞれメリットとリスクがあります。
だから私は、単純に「何銘柄持っているか」よりも、自分の資産が、一社や一つの業界の結果にどのくらい左右される状態なのかを見るようにしています。
好きな企業だから多めに持つこともあります。それ自体を否定する必要はないと思っています。
ただ、その企業が想定どおりにいかなかったときに、自分の資産全体へどの程度影響するのか。
そのリスクまで分かったうえで、自分が受け入れられる量にしておきたいです。
1.5 投資するタイミングも分散する
買いたい株が見つかっても、最初から予定している金額をすべて入れるとは限りません。
まず1株買ってみることもありますし、何回かに分けて少しずつ増やすこともあります。
買った翌日に株価が下がるかもしれません。反対に、「もっと安くなってから買おう」と待っているうちに、そのまま上昇してしまうこともあります。未来の値動きを正確に当て続けることはできません。
だから私は、一度の判断ですべてを決めるより、投資する時期を分けることで、特定のタイミングに依存しすぎないようにすることがあります。
もちろん、分割して買えば必ず有利になるわけではありません。右肩上がりの相場であれば、最初にまとめて投資した方が結果的に良かったということもあります。
それでも私にとっては、少しずつ買うことで企業を観察する時間を持てたり、実際の値動きを経験しながら次の判断を考えられたりすることにも意味があります。
投資タイミングの分散は、単に価格変動への対策だけではなく、自分がその投資を理解していくための時間をつくる方法にもなっています。
1.6 分散すること自体を目的にしない
ここまで、国や地域、通貨、投資対象、個別銘柄や業界、投資するタイミングについて書いてきました。
ただ、私が目指しているのは、「できるだけ細かく分散されたポートフォリオ」ではありません。
分散そのものが目的ではなく、自分が取りたくないリスクへの依存を抑えるための手段だからです。
分散しすぎれば、自分でも何を持っているのか分かりにくくなるかもしれません。魅力を感じている企業があるのに、機械的に保有比率を小さくすれば、その企業が成長したときに得られるリターンも小さくなります。
反対に、一つの企業やテーマへ大きく集中すれば、その見方が外れたときの影響も引き受けなければなりません。
どちらが正しいとは一概には言えません。
結局は、「自分はどのリスクなら取れるのか。そして、どのリスクには依存しすぎたくないのか」を考えながら、自分に合ったバランスを探すことになります。
ポートフォリオ全体を見るのは、そのためです。
1.7 ポートフォリオの役割を、証券口座でも分かりやすくする
こうした分散や役割分担を管理しやすくするために、私は証券口座も使い分けています。
ただし、SBI証券、楽天証券、SMBC日興証券に資産を分ければ、それだけで投資リスクが分散されるという意味ではありません。
口座を分けても、すべてで同じ日本株を持っていれば、資産全体としての偏りは残ります。
私にとって証券口座を使い分ける目的は、ポートフォリオの中で、それぞれの資産がどんな役割を持っているのかを分かりやすくすることです。
- 長く持ちたい資産
- 企業を分析しながら柔軟に売買する株
- 株主優待を目的に少しずつ育てていく株
ある程度置き場所を分けることで、「なぜこの資産を持っているのか」を確認しやすくしています。
SBI証券、楽天証券、SMBC日興証券をどのように使い分けているのかについては、別の記事で詳しくまとめています。
「私がSBI・楽天・SMBC日興を使い分ける理由|証券口座ごとに役割を決める」
https://asset-health-note.com/brokerage-account-strategy/
2.長期投資を基本にし、保有する目的を意識する
私は短期間の株価を当て続けることより、長く持てる資産を増やしていく方が自分には合っていると感じています。
ただし、長期投資を「一度買ったら何があっても売らないこと」とは考えていません。
企業を取り巻く環境は変わります。業績が悪化することもあれば、当初考えていた成長シナリオそのものが崩れることもあります。また、自分自身の状況や考え方が変わる場合もあります。
そのため、長く保有すること自体を目的にはしていません。
大切にしているのは、「なぜ、この株を持っているのか」を自分なりに説明できることです。
2.1 長期保有する株と、売却も考える株を分ける
私は欲張りです。だから、個別株も複数の目的で保有しています。
長期的に持ち続けたい株もあれば、成長や割安修正を期待して保有する株もあります。
長期保有を前提にした企業なら、多少の値動きだけで売却することはありません。
一方、中期的な成長や評価の見直しを期待して買った株なら、自分が想定していた状態になったところで売却することもあります。
ここを曖昧にすると、株価の動きに合わせて保有理由まで変わりやすくなります。
上がったときには「まだ上がりそうだから」と売れなくなる。下がったときには、いつの間にか「これは長期投資だから」と理由が変わっている。私自身も、そういう気持ちになることがあります。
だからこそ、買うときに「この株は何のために持つのか」をある程度決めておくようにしています。
2.2 短期の値動きより、保有している理由を見る
「早く売ってしまいたい、、、」これを避けるために、保有理由をたびたび振り返るようにしています。
納得して買った株であっても、株価が下がれば不安になります。もちろん、上がればうれしくなります。それは自然なことだと思っています。
私は、感情をなくして投資することを目指しているわけではありません。
むしろ、大きく感情が動いたときに、「今は焦っていないか」「欲が強くなりすぎていないか」「この会社を持っている理由は今も残っているか」と、自分に問い直します。
企業について調べた結果、保有する理由が今も残っているなら、短期の株価だけで判断を変えない。
反対に、投資したときの前提が崩れているなら、含み益か含み損かに関係なく見直します。
長期投資とは、単に長く持ち続けることではなく、保有する理由を確認しながら企業と付き合っていくことなのかもしれません。
3.高配当株を重視し、配当を人生の選択肢につなげる
個別株では、高配当株を比較的重視しています。
理由の一つは、株価の上昇だけに頼らず、保有している間にも企業が生み出した利益の一部を受け取れることです。
株価が思うように上がらない時期でも、配当が入ってくることで投資の成果を感じることができます。
ただし、配当利回りが高ければ、それだけで魅力的とは考えていません。
3.1 配当利回りの高さだけでは判断しない
高い配当利回りには、それなりの理由がある場合があります。
業績が悪化して株価が下落した結果、見かけ上の配当利回りが高くなっているかもしれません。
利益が減っているにもかかわらず、無理をして配当を維持している場合もあります。
そのため、現在の利回りだけではなく、利益を継続して生み出せているのか、財務に無理はないか、今後も必要とされる事業なのか、といった背景も確認します。
- 配当を維持できそうか。
- 増配する余力はあるか。
- 自社株買いを含めて、会社は株主還元をどう考えているのか。
そうしたところまで見たうえで、高配当ならより魅力を感じます。
3.2 個別株と高配当投資信託を組み合わせる
高配当投資についても、個別株だけに限定していません。高配当株へ広く分散する投資信託も使っています。
個別株には、自分で企業を選び、長く見ていく面白さがあります。
一方、投資信託なら一つの商品で多くの企業に投資でき、個別企業のリスクを抑えやすくなります。
私は、どちらか一方を選ぶより、両方をポートフォリオの中で使い分ける方が自分には合っています。
3.3 配当は「やりたいことの土台」にする
配当金についても、すべてを再投資しなければならないとは考えていません。
もちろん、資産形成の途中では再投資による効果も大きいです。
一方で、資産を増やし続けることそのものが、私の最終目的ではありません。配当金が旅行代になるかもしれません。学びたいことにも使えます。また、大切な人との時間や、働き方の選択肢につなげてもいいでしょう。
私が資産運用をするのは、証券口座に表示される数字を大きくするためだけではありません。
お金があることで、「できること」や「選べること」を少しずつ増やしたい。
その意味で、配当金もブログの副題である「やりたいことの土台をつくる」ための一つとして考えています。
4.NISAなどの制度は、自分の投資方針に合わせて使う
NISAは、運用益や配当が非課税になる大きなメリットがあります。
だからこそ私は、短期的に売買したいものより、長く保有したい資産を置く場所として使っています。
4.1 投資信託と個別株の両方で使う
投資信託では、全世界株式など長期で積み立てていきたいものを保有しています。
個別株についても、商社、金融、インフラ関連など、自分なりに長く付き合いたいと思える企業を中心に考えています。
NISAだから投資信託だけ、あるいは個別株だけ、と決めているわけではありません。
長期保有したい資産であれば、それぞれの特徴を見ながら使っています。
4.2 「NISAだから買う」のではなく「長く持ちたいからNISAで買う」
ここでは、順番を逆にしないようにしています。
「NISA枠が余っているから何かを買おう」ではなく、「この資産は長く持ちたい。だからNISAで保有しよう」という順番です。
NISAは便利な制度ですが、NISAで買えることと、それが良い投資対象であることは別です。
制度に自分の投資を合わせるのではなく、自分の投資方針を実現するために制度を使う。
今のところ、そのくらいの距離感が自分には合っています。
5.数字や根拠を確認したうえで、最後は自分が納得できる投資をする
投資をするうえで、数字や根拠は大切です。
PER、PBR、ROE、配当利回り、業績、キャッシュフロー。企業を見るための材料はいくつもあります。
私も、できるだけ数字を確認しますし、なぜ投資するのかという根拠も探します。
それでも最後に大切にしたいのは、自分がその判断に納得できるかどうかです。
5.1 良い判断と、良い結果は必ずしも同じではない
投資では、十分に調べて買った株が下がることがあります。
反対に、ほとんど調べずに買った株が大きく上がることもあります。
結果だけを見れば、後者の方が「良い投資」に見えるかもしれません。
でも、自分の投資を結果だけで判断すると、次に生かせるものが少なくなります。
私は、
- 「なぜ買ったのか」
- 「どんなリスクを取っていたのか」
- 「何を期待していたのか」
- 「その時点で持っていた情報から、どう考えたのか」
まで含めて振り返りたいです。
結果が良かったから判断も良かったとは限りません。
逆に、損失が出たからといって、その時点での判断がすべて間違っていたとも限りません。
結果と判断を少し分けて考えることが、長く投資を続けるうえでは大切だと感じています。
5.2 理屈だけでなく、楽しく続けられるかも見る
いろいろな投資方法を試してきて感じるのは、理論上どれだけ合理的でも、自分自身が納得できない方法は続けにくいということです。
投資している間ずっと不安だったり、まったく興味を持てなかったりするなら、数字上は効率的でも自分には合っていないのかもしれません。
反対に、多少手間がかかっても、企業について調べることが楽しく、自分なりの理由を持って保有できるのであれば、その時間にも価値があります。
投資は生活の一部です。
だから、リターンだけでなく、無理なく続けられるか、面白いと思えるかといった感覚も無視したくありません。
5.3 最後は、自分の判断として引き受ける
ここで言う「納得感」は、「自分が好きなら何でもいい」という意味ではありません。
数字を見て根拠を探し、自分とは違う意見も確認する。それでも、未来の結果までは分かりません。
最後は自分で決めることになります。
英語の「accountability」という言葉には、説明責任や結果に対する責任といった意味があります。
投資でも、自分がした判断について自分なりに説明でき、その結果を引き受けられる状態でいたいと思っています。
うまくいけば経験になります。うまくいかなければ、何が違っていたのかを振り返ることができます。
自分のお金だからこそ、誰かの正解をそのまま借りるのではなく、数字や根拠を見たうえで、最後は自分が納得できる形で決めたいです。
今の私の株式投資方針
現在の方針を改めてまとめると、次の5つです。
- ポートフォリオ全体で考え、リスクを分散する
- 長期投資を基本にし、保有する目的を意識する
- 高配当株を重視し、配当を人生の選択肢につなげる
- NISAなどの制度は、自分の投資方針に合わせて使う
- 数字や根拠を確認したうえで、最後は自分が納得できる投資をする
今は、この組み合わせが自分には合っています。
ただ、これをずっと変えてはいけないルールだとは考えていません。
資産が増えれば、取れるリスクは変わります。生活が変われば、お金の使い道も変わるでしょう。
経験を積むことで、以前とは違う投資方法の方がしっくりくるようになるかもしれません。
そのときに、昔決めた方針へ今の自分を無理に合わせるのではなく、その度に現在地を把握し、必要に応じて柔軟に変化させることが大切だと考えています。
これからも、そんな形で資産運用の「体調管理」を続けていきたいと思っています。
※この記事は、個人の投資方針や考え方をまとめたものです。特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント