資産運用には、いろいろなやり方があります。
インデックス投資、高配当株、個別株など、どれを選ぶかは人それぞれです。投資経験が長いから大きなリスクを取るとも限りませんし、初心者だから慎重であるべきとも限りません。
大切なのは、自分が何を求め、そのためにどの程度のリスクを引き受けられるのかを考えることだと思っています。
私自身も、投資について学び、実際に運用するなかで、少しずつ自分なりの考え方をつくってきました。
現在、大切にしているのは次の5つです。
- 金融資産は人生を支える「資産の一部」にすぎないと捉える
- 金融投資は自己投資など数ある「投資の一つ」であることを意識する
- 株式投資は「金融資産全体の一部」として位置づける
- 自分が引き受けられるリスクと、求めるリターンのバランスを考える
- 小さく始め、自分の反応を確かめながら調整する
この記事では、この5つについて順番に整理していきます。
1.金融資産は人生を支える「資産の一部」にすぎないと捉える

資産運用という言葉を聞くと、株や投資信託、預金などを思い浮かべることが多いと思います。
もちろん、金融資産は大切です。お金に余裕があれば、選べることが増えます。急な出費にも対応しやすくなりますし、働き方や住む場所を考えるときにも選択肢を持ちやすくなります。
ただ、自分の人生を支えているものは金融資産だけではありません。健康であるから働けます。時間があるから学んだり、大切な人と過ごしたりできます。
知識やスキルが増えれば、仕事の選択肢や収入が広がるかもしれません。人とのつながりや、これまで積み重ねてきた経験も、簡単に金額には置き換えられませんが、自分を支えてくれるものです。
会社員である今の私にとっては、毎月働いて収入を得られることも大きな土台です。
仮に金融資産を増やすことができても、そのために健康を大きく損なったり、家族や大切な人との時間をほとんど失ったりしたとしたら、それが自分の望んでいる状態なのかは分かりません。
反対に、金融資産の増え方だけを見れば少し遠回りに見えても、学びや経験に使ったお金が、数年後の仕事や人生の選択肢を広げてくれることもあります。
だから私は、金融資産を増やすことだけを目的にはしていません。金融資産も大切です。健康も時間も、学びも人とのつながりも大切です。
「その時々の自分にとって、どこにお金や時間を配分するのがよいのか」
資産運用を考えるときにも、一段引いて人生全体を見る視点を持っていたいと思っています。
1. 金融資産は人生を支える「資産の一部」にすぎないと捉える
2.金融投資は自己投資など数ある「投資の一つ」であることを意識する
人生を支えるものが金融資産だけではないなら、投資する対象も金融商品だけではありません。
たとえば、手元に10万円あったとします。その10万円で株を買うこともできます。
一方で、仕事に必要なことを学ぶために使うこともできます。本を読む、旅行をする、健康のために使う、大切な人との時間に使うという選択もあります。
私は、こうしたものも広い意味での「投資」だと考えています。
特に自己投資は、金融投資とは違う形でリターンが返ってきます。勉強したことが仕事につながるかもしれません。新しい分野を学んだ結果、それまで知らなかった人や考え方と出会うこともあります。
私自身でいえば、学ぶことで仕事でできることが増えたり、ブログで書けるテーマが増えたりします。物事を見る視点が増えれば、人との会話や、本を読んだときの感じ方まで変わることがあります。
ただ、このリターンは株式投資ほど分かりやすくありません。株なら、買った価格と現在の価格を比べられます。配当金も数字で確認できます。
一方で、ある本を読んだことでどれだけ人生が変わったのか、旅行で得た経験が将来どんな形で返ってくるのかを、年率何%と計算することは難しいでしょう。
でも、数字にならないからといって、価値がないわけではありません。思い出が価値になることがありますし、お金では買えない経験や人間関係もあります。
だからといって、「金融投資より自己投資の方が必ず優れている」と考えているわけでもありません。金融資産を育てることにも意味がありますし、今しかできない経験にお金を使うことにも意味があります。
何が言いたいかといえば、
未来だけを重視して今を削りすぎない。一方で、今だけを重視して未来への備えをなくしすぎない。
ということです。今と未来のバランスを自分で考えることが重要だと考えています。
それは誰も教えてくれないので、自分なりのバランスを探すことが大切だと思っています。
2. 金融投資は自己投資など数ある「投資の一つ」であることを意識する
3.株式投資は「金融資産全体の一部」として位置づける
金融資産のなかでも、私は株式投資が好きです。
企業について調べたり、決算を読んだり、「この会社はこれからどうなるだろう」と考えたりすること自体にも面白さを感じています。
だからこそ、ときどき意識していることがあります。それは、株式だけを見すぎないというこうことです。
金融資産には、株式以外にも現金、債券、金、REITなどがあります。
株式のなかでも、日本株だけでなく海外株があります。同じ株式でも、個別株と広く分散されたインデックスでは、持っているリスクの性質が違います。さらに、国や地域が変われば通貨も変わります。
私自身も、個別株だけではなく、投資信託や企業型DCなどを通じて複数の資産を持っています。企業型DCでも株式だけに集中させず、債券などを含めて全体の配分を考えるようにしています。
個別株を調べていると、魅力的な企業に出会うことがあります。
「この会社はかなり良さそうだ」
そう思えば、もっと買いたくなるのは自然なことです。
ただ、その企業だけを見れば魅力的でも、資産全体ではすでに株式への配分が高くなっているかもしれません。日本株ばかり増えていることもあります。同じ業界の企業が重なっていることもあります。
そんなときは、少し視点を引いてみます。今持っている資産全体のなかで、この株を増やす意味は何か。そこまで考えた結果、「魅力的だけれど、今は増やさない」という判断になることもあります。
もちろん逆もあります。自分の資産全体に余裕があり、その企業について調べたうえで、取るリスクに対して期待できるリターンが十分だと判断するなら、資金を厚くする選択もあります。
分散すれば必ず正しいわけでも、集中すれば必ず間違いというわけでもありません。
大切なのは、自分が何のリスクを取っているのかを理解したうえで、そのリスクを引き受けるかどうかを考えることだと思っています。
株式投資は、資産運用の中心になることもあります。それでも、あくまで金融資産全体の一部です。
「どの株を買うか」と同じくらい、「どんな資産を、どのくらい持つのか」も見ていきたいです。
3. 株式投資は「金融資産全体の一部」として位置づける
4.自分が引き受けられるリスクと、求めるリターンのバランスを考える

投資について調べていると、さまざまな「正解」に出会います。
- 「インデックス投資だけでいい」
- 「高配当株がいい」
- 「成長株に投資した方がいい」
- 「個別株はやらない方がいい」
- 「現金を持ちすぎるのはもったいない」
それぞれに理由があると思います。実際、その方法が合っている人もいるでしょう。
ただ、それがそのままあなたにも当てはまるとは限りません。
ここで重要になるのが、自分がどこまでのリスクを引き受けられるのかということです。
自分のリスク許容度を意識する
リスク許容度という言葉があります。
値下がりにどれだけ耐えられるか、という心理的な意味で使われることも多いですが、それだけではありません。収入はいくらあるのか。生活費はいくら必要なのか。万が一に備えた現金は十分か。近いうちに大きなお金を使う予定があるのか。
投資できる期間が10年ある人と、数年後に使う予定のお金を運用している人では、引き受けられるリスクは違います。
自分が行動をとれるラインを意識する
そして、もう一つあると思っています。
同じリスクとリターンを見ても、人によって「動けるライン」が違うことです。
たとえば、100万円を投資して、大きな利益が得られる可能性がある一方、ある程度損失が出る可能性もあるとします。期待できるリターンが十分に大きければ、比較的早く行動できる人もいます。
一方で、どれだけリターンが大きくても、損失の可能性がかなり小さいと自分で納得できるまでは動かない人もいます。
どちらが優れているとは思いません。前者は機会をつかみやすい反面、想定が外れたときの損失も引き受ける必要があります。後者は大きな損失を避けやすいかもしれませんが、慎重になりすぎることで機会を逃す可能性もあります。
人それぞれに、自分なりのリスクとリターンの感じ方があります。
自分が引き受けられるリスクと、求めるリターン
だから、「どれくらい儲かりそうか」だけを見るのではなく、
「そのリターンを得るために、自分は何をどこまで失う可能性なら受け入れられるのか」
まで考えることが大切だと思っています。
これは投資初心者だけに必要な考え方ではありません。長く投資をしている人であっても、取る必要のないリスクまで取る必要はありません。
一方で、経験や知識があり、資産全体にも余裕があり、失敗した場合に何が起こるのかを理解したうえでリスクを取ることも、一つの判断です。
投資経験を積むということは、単純に大きなリスクを取れるようになることではなく、自分が何のリスクを取っているのかを少しずつ理解できるようになることなのかもしれません。
私はインデックス投資もしますし、個別株にも投資します。高配当株にも魅力を感じています。それぞれに違ったリスクとリターンがあります。
だからこそ、一つの方法だけを正解にするより、自分の資産状況、性格、使える時間、投資の目的まで含めて考えたいです。
期待リターンが高くても、その投資が気になって仕事や生活に支障が出るなら、自分にとってはリスクを取りすぎているのかもしれません。
逆に、多少値下がりしても生活には影響せず、投資した理由にも納得できているのであれば、それは自分にとって引き受けられる範囲なのかもしれません。
リスク許容度は、誰かと比べて高い方が偉いものではありません。
「自分が引き受けられるリスクと、求めるリターン」。この釣り合いが自分にとってどうなのかを考えることが、長く続けられる資産運用につながると思っています。
4. 自分が引き受けられるリスクと、求めるリターンのバランスを考える
5.小さく始め、自分の反応を確かめながら調整する

自分に合った投資方法やリスク許容度は、頭の中で考えているだけでは分からないことがあります。
「30%下落しても大丈夫」
そう思っていても、実際に自分のお金が減っていく画面を見ると、感じ方が変わるかもしれません。
逆に、「個別株は怖そうだ」と感じていた人が、少額で始めてみることで、意外と落ち着いて企業を追えると気づくこともあります。
そのため私は、新しい投資先や方法に興味を持っても、最初から大きな金額を入れず、小さく試すことがあります。
個別株では、気になる企業をまず1株だけ買うこともあります。1株でも実際に株主になると、その企業を見る目が変わります。それまで何となく眺めていた決算が、自分事になります。株価が下がったときにも、自分がどう感じるのかが見えてきます。
「安くなったから、もう少し買いたい」と思うのか。
「これ以上下がるのが怖い」と感じるのか。
あるいは、「そもそも何を期待してこの株を買ったんだろう」と考え直すのか。
どの反応が正しいということではありません。その反応自体が、自分を知るための材料になります。
私自身、気になる優待株などでは、まず1株持って企業を観察し、もっと持ちたいと思えば少しずつ増やしていくことがあります。実際に保有してみないと見えてこないことがあるからです。
小さく始めることには、損失を抑えやすいというメリットがあります。
それと同じくらい、私は自分のリスクに対する反応を知るための実験という意味もあると思っています。
10万円を投資したときと、100万円を投資したときでも気持ちは違うでしょう。
今は取れるリスクでも、結婚、住宅購入、転職などで生活が変われば、同じリスクを取りたくなくなるかもしれません。
つまり、自分のリスク許容度もずっと固定されているわけではないということです。
- 今の自分に合いそうな方法を試してみる。
- 少し続けてみる。
- そのときの自分の反応を見る。
- 合っていれば続ける。違うと感じれば調整する。
最初から完璧な資産運用をつくる必要はないと思っています。
このブログの名前である「資産運用の体調管理ノート」にも通じます。健康状態がずっと同じではないように、収入も、資産も、生活も、投資に対する感じ方も変わります。
だから、今の状態を確認する時間を設け、必要であれば少し調整をするようにすることが大事だと思っています。私は、そんな距離感で資産運用を続けていきたいです。
5. 小さく始め、自分の反応を確かめながら調整する
大きなところから考えると、取るリスクも見えやすくなる
ここまでの話は、一見すると少し広いように見えるかもしれません。
でも、私のなかではすべてつながっています。人生を支えているものは、金融資産だけではありません。健康も、時間も、知識も、経験も、人とのつながりもあります。
だから、投資する対象も金融商品だけではありません。
自己投資をすることもあれば、経験にお金を使うこともあります。
そのうえで金融資産に回すお金についても、株式だけを見るのではなく、現金、債券、金などを含めた全体で考えます。
さらに株式へ投資するときにも、自分がどれくらいのリスクを取るのかを考えます。
この順番で見ていくと、「次はどの株を買おう?」だけが資産運用ではないことが分かります。
たとえば、近いうちに使う予定のお金で、大きな価格変動を取る必要はないかもしれません。
一方、当面使う予定がなく、十分な時間をかけられる資金なら、ある程度の値動きを受け入れてリターンを求める選択肢もあります。
リスクを取らないことが正しいわけでもありません。大きなリスクを取ることが優れているわけでもありません。
大事なことは、次のサイクルを繰り返す自分に問い、あなたにとっての最適解を探し続けることだと思います。
- 自分は何を得たいのか。
- そのために、何をどこまで失う可能性なら受け入れられるのか。それを理解したうえで選ぶ。
- 個別株を楽しみながら、ときどき一段上から資産全体を見る。
- さらに一段上から、自分の生活や人生を見る。
株価を追っていると、どうしても視野が狭くなる瞬間があります。
そんなときに、
- 「そもそも何のために投資しているんだろう」
- 「私は、どこまでのリスクを取るつもりだったんだろう」
と戻れる場所を持っておく。それも、資産運用を長く続けるためには大切なことだと考えています。
私が資産運用で大切にしている5つの考え方
ここまで書いてきたことをまとめると、現在の私は次の5つを大切にしています。
- 金融資産は人生を支える「資産の一部」にすぎないと捉える
- 金融投資は自己投資など数ある「投資の一つ」であることを意識する
- 株式投資は「金融資産全体の一部」として位置づける
- 自分が引き受けられるリスクと、求めるリターンのバランスを考える
- 小さく始め、自分の反応を確かめながら調整する
これは、すべての人に当てはまる正解だとは考えていません。投資を始めたばかりの人でも、長く相場を見てきた人でも、自分に合う方法は違います。
今の自分には、この考え方がしっくりきている。そのくらいの位置づけです。
そして、自分に合う資産運用の形も、ずっと同じとは限りません。
収入が変わるかもしれません。思わぬかたちで資産が増えたり減ったりすることもあるでしょう。家族や仕事の状況が変わることの影響も考慮すべきでしょう。さらに、投資経験を積むことで、以前とはリスクの感じ方が変わるかもしれません。
そんなとき、過去に決めたルールへ今の自分を無理に合わせる必要はないと思っています。
今の状態を見て、必要なら調整する。そしてまた続けてみる。
そんな形で、自分なりの資産運用を続けていきたいです。
以上が私が資産運用で大事にしている考え方でした。
別の記事では、この考え方を前提に、長期投資、高配当株、NISAなど、現在実践している株式投資の基本方針について整理します。
※この記事は、個人の資産運用に対する考え方をまとめたものです。特定の金融商品や投資方法を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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